クレジット・デビットカードも年内に導入か
大手SNSプラットフォームX上で、近日中に投資や取引ができるようになるようだ。XのCEOであるリンダ・ヤッカリーノ(Linda Yaccarino)氏が、カンヌ・ライオンズ広告祭での「フィナンシャルタイムズ」のインタビューで6月19日明らかにした。
この動きは、Xの会長兼CTOも務める実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏が目指す、スーパーアプリ構想の一環とみられる。
ヤッカリーノ氏は、X上でユーザーの金融活動をすべて完結できるようになると意欲を示した。「Xクレジットカード」や「Xデビットカード」の導入も検討中で、早ければ年内にもローンチ予定であることを明かしている。
Xはすでに米決済大手Visaと提携し、年内にデジタルウォレットおよびP2P決済サービス「X Money」をリリース予定であることを発表している。
また、マスク氏は5月の投稿にて、「X Money」はまず米国でアクセス制限付きベータ版として提供開始されると述べている。
「X Money」では、Visa Directを通じてX Walletに即時で資金を供給し、デビットカードと連携したP2P決済が可能となる。また、銀行口座への即時送金オプションも提供される見込みである。
ただし、これらの金融サービス提供には、ライセンス取得やマネーロンダリング防止法(AML)等の規制への準拠が必要であり、法規制対応が今後の課題となる。
マスク氏は2022年10月、Twitter社を440億ドル(当時の価格で約6.4兆円)で買収し、その後ブランド名を「X」に変更。同SNSプラットフォームのオーナーかつ会長兼CTOとなった。
Xの現在の業績は、2022年買収当初の約半分に落ち込んでいると見られ、本格的な回復にはまだ時間を要するとされている。
なおヤッカリーノ氏は、「X買収前に取引のあった広告主のうち96%が復帰した」と述べ、2022年の広告水準に間もなく回復する見込みだとアピールしている。
しかし、カンヌに集まった一部広告主や代理店の間では、Xへの広告出稿に依然として慎重な姿勢が見られたという。その理由として、プラットフォーム上の有害コンテンツや、マスク氏と米大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏との関係への懸念が挙げられた。
また関係者の証言によれば、「一定額を出稿しなければ訴訟もあり得る」とXから圧力を受けたとする広告主もいたという。
なおヤッカリーノ氏は、広告出稿を拒否したブランドに訴訟をちらつかせたという一連の報道については、「根拠のない噂話にすぎない」と強く否定している。
ヤッカリーノ氏は、Xは現在AI機能の強化にも注力しており、リアルタイムにトレンドに応じた広告配信が可能になると述べている。また、エンジニアの数も2倍に増やしたことも明かしている。
参考:FT
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