ソラナが新コンセンサスプロトコル「Alpenglow」発表
ソラナ(Solana)のノードクライアントソフトウェアである「アガヴェ(Agave)」を開発するアンザ(Anza)が、ソラナの新しいコンセンサスプロトコル「アルペングロー(Alpenglow)」のホワイトペーパーを5月19日に発表した。同プロトコルは、ソラナのコアプロトコルに対する「これまでで最大の変更」として位置づけられている。
「アルペングロー」への移行に伴い、ソラナの既存のコンセンサスプロトコルである「タワーBFT(TowerBFT)」と「プルーフ・オブ・ヒストリー(Proof-of-History)」が廃止され、新たに投票とブロックの確定ロジックを担当する「ボーター(Votor)」が導入される。また現在のゴシップ方式に代わり、ノードが特定の相手と直接通信する「直接通信プリミティブ」という方式が採用される。
「ボーター」はブロック確定のための投票を処理し、ステークの80%が参加する場合は1ラウンド、60%のステークが応答する場合は2ラウンドでブロックを確定する。これら2つの投票モードは統合され同時に実行されるため、どちらか一方の処理が終了した時点でブロックが確定するという仕組みだ。
アンザによると、現在の「タワーBFT」ではブロック作成からブロック確定まで約12.8秒かかっているが、「アルペングロー」では約150ミリ秒まで短縮できると予想されている。さらに場合によっては、100ミリ秒にまで短縮することも可能だという。
また「アルペングロー」ではデータ配信プロトコルとして「ローター(Rotor)」も導入される。「ローター」はソラナ独自のデータ配信プロトコル「タービン(Turbine)」をベースにしており、ブロックをより小さな断片に分割して迅速に配信する手法を採用している。ただし、「タービン」のマルチレイヤーツリー構造と異なり、「ローター」ではデータが経由する中間デバイスを最小限に抑えるため単一レイヤーのリレーノードを採用している。
アンザは、この150ミリ秒という遅延の低さはソラナが速いだけでなく、応答性の点でWeb2インフラと競合できる可能性を示すものだと主張している。これにより、リアルタイムパフォーマンスを必要とする新しいカテゴリのアプリケーションでもブロックチェーン技術が実用的になる可能性がある。
ソラナの創設者であるアナトリー・ヤコベンコ(Anatoly Yakovenko)氏はXにて、「私はコンセンサスについてほとんど全てを間違えていましたが、重要な部分だけは正しかった。ブロック生成者が帯域幅の100%を100%の時間使えるようにすること、ユーザーには1ラウンドでの決定的なファイナリティが必要なこと。『アルペングロー』は、この両方の要件を、単純かつエレガントなデザインで見事に満たしています」とコメントしている。
なお「アルペングロー」のプロトタイプは既に公開されており、数カ月以内にテストネットへの導入が予定されている。今年後半にソラナの改善提案「Solana Improvement Document(SIMD)」を通じてコミュニティの承認を得た後、メインネットへの実装が計画されている。
1/ Introducing the largest Solana Protocol change ever: Alpenglow, Solana’s new consensus protocol conceived by the Anza Research team. Say goodbye to Tower BFT and Proof of History. Say hello to Votor & Rotor pic.twitter.com/KPNQxQ1jBg
— Anza (@anza_xyz) May 19, 2025
Twitter埋め込み
An Alpenglow prototype is live, and will come to Solana testnet in a few months.
— Solana (@solana) May 19, 2025
Mainnet rollout will come through a Solana Improvement Document (SIMD) proposal later this year.
h/t to @TheWattenhofer, @DiscoKobi, and @qkniep. IBRL
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参考:アンザ・WP
画像:iStocks/Sergey-Khakimullin