ブロックチェーン対応ファンドを拡大
米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)が、143億ドル(約2兆円)規模の「トレジャリー・トラスト・ファンド(Treasury Trust Fund:TTF)」におけるDLT株式(DLT Shares)の発行計画に関する登録届出書を、4月28日に米証券取引委員会(SEC)に提出した。
このファンドは機関投資家を主な対象としており、米大手銀行バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY Mellon)を通じてのみ利用可能。BNYは、第三者の技術プラットフォーム運営者と契約を結び、ブロックチェーン技術を用いて顧客の保有記録を管理する予定だ。最低投資額は初回のみ300万ドル( 約4.3億円)で、追加投資には最低額の設定がない。
ファンドの目的は、流動性と元本の安定性を維持しつつ、現在の収益を追求することにある。米国財務省が発行、または元本および利息の支払いを保証する証券に100%投資し、ポートフォリオの加重平均満期は60日以内、加重平均寿命は120日以内に制限される。
ブラックロックは「BUIDL(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)」を通じて、資産のトークン化に積極的に取り組んでおり、こちらも主に機関投資家を対象としている。今後もこの戦略を強化していくと見られる。
BUIDLのトークン化業務を担当するデジタル資産発行プラットフォーム「セキュリタイズ(Securitize)」は3月14日、BUIDLの運用資産残高が10億ドル(約1,488億円)を突破したと発表した。
グローバルカストディアンとしても知られるBNYメロンは、伝統的金融(TradFi)機関を主な顧客として抱える一方、2022年にはステーブルコインUSDCの発行元であるサークル(Circle)のカストディアンに選定された。現在は、トークン化されたマネー・マーケット・ファンド分野への参入も進めている。
参考:登録届出書
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