XRPLで米国債担保のトークン化CP展開
金融商品格付け機関ムーディーズ(Moody’s Corporatio)から短期債として最高格付けプライム 1(Prime-1)を取得している「グッゲンハイム・トレジャリー・サービス DCP(Guggenheim Treasury Services DCP:GDCP)」が、分散型レイヤー1ブロックチェーン「XRPレジャー(XRP Ledger:XRPL)」上で運用開始された。米リップル(Ripple)社が6月10日に発表した。
「GDCP」は、2024年9月にイーサリアム(Ethereum)上で発行開始された資産担保型コマーシャルペーパーだ。米国財務省証券によってその価値は裏付けられており、累計発行額は2億8,000万ドル(約406億円)を超えている。
なおコマーシャルペーパー(CP)とは、企業が短期的な資金調達を目的に発行する無担保の約束手形であり、主に信用力の高い大企業が使う資金調達手段である。
また「GDCP」は、世界最大級の独立系CPプラットフォーム運営企業の1つであるグッゲンハイムトレジャリーサービス(Guggenheim Treasury Services)によって運営されている。「GDCP」のトークン化や発行、管理のプロセスはジーコノミー(Zeconomy)のプラットフォーム上で行われているという。
「XRPL」上への展開により「GDCP」は、適格機関投資家および適格購入者に対してリアルタイム決済との統合を可能にする高度な財務管理ソリューションを提供しているとのことだ。これによりコスト削減や、高速決済、サプライヤーネットワーク全体にわたる透明性の向上を実現し、従来の国際決済に伴う時間や運用における負担が軽減されるという。
発表によると、トークン化されたRWA(実物資産)市場が2025年の6億ドル(約870億円)から2033年には約19兆ドル(約2,753兆円)に拡大すると予測されている。またリップル社は「GDCP」への投資を通じて、「XRPL」上で展開されているトークン化された米国債に関する取り組みを拡充していくという。
具体的な取り組みとして、機関投資家向けのDeFi(分散型金融)プロトコルを提供するオンドファイナンス(Ondo Finance)発行のRWAトークンOUSGや、デジタル証券取引所およびカストディ業務を展開する英アーチャックス(Archax)、さらに英国の資産運用会社アバディーン(abrdn)のマネーマーケットファンドが挙げられている。
また、リップル社は今月9日にWeb3サロン(Web3 Salon)と提携し、「XRPL」を基盤とする日本の初期スタートアップを対象に助成金の提供を発表している。助成金の提供対象となる分野には、DeFi(分散型金融)、RWA、デジタル決済などが挙げられており、今後1年間で1プロジェクトあたり最大20万ドル(約2,900万円)が提供されるとのことだ。
参考:Ripple・GDCP
画像:iStocks/ThinkNeo・Lidiia-Moor