Jupiter DAO、ガバナンス投票を2026年まで停止。コミュニティ内の対立で信頼関係悪化を受け

Jupiter DAOがガバナンス投票を2026年まで停止

ソラナ(Solana)基盤のDEX(分散型取引所)アグリゲーター「ジュピターエクスチェンジ(Jupiter Exchange)」を運営するジュピターDAO(Jupiter DAO)が、2025年末までガバナンス投票を一時停止すると6月20日に発表した。この措置は、コミュニティ内での信頼関係の悪化を受けたもので、2026年に新たなガバナンス体制で投票を再開する予定だ。

ジュピターチームのカッシュ・ダンダ(Kash Dhanda)氏は、現在のDAO構造が意図通りに機能していないと説明した。「不満の声を耳にし、信頼関係の崩壊を目の当たりにし、投票のたびに拡大するFUD(恐怖、不確実性、疑念)の連鎖を感じている」と述べ、DAO、トークン保有者、チームが一体となって前進できず負の循環に陥っていると述べた。

投票停止の背景には、プロジェクト内部者による意思決定の支配という批判がある。最近のDAO提案では、チームメンバーが管理する1つのウォレットが全投票数の4.5%以上を占めた。ジュピター創設者とチームメンバーはガバナンストークン「JUP」トークン総供給量の約20%を保有していると報じられており、コミュニティメンバーはこの影響力を「受け入れられない」として分散化を損なうと批判していた。

過去にもジュピターDAOではガバナンス論争は発生しており、3月にはDAOが4人の新規スタッフに対する700万ドルの給与パッケージを承認した。また別の投票では、共同創設者のミン・ン(Ming Ng)氏が65人の新規雇用資金として2億8,000万JUPトークンを質権設定することを条件に、2億2,000万JUPのボーナスが付与された。これら両措置とも反発があったにも関わらず可決されたことでコミュニティでは否定的な意見が見られていた。

投票停止期間中も、「JUP」をステーキングしている保有者への報酬配布は継続される。四半期あたり5,000万JUPのペースで配布が続けられ、既存のワーキンググループも従来通り運営される。ただし新たなDAO資金によるワーキンググループの設立や追加のJUP発行は行われないとのことだ。

ダンダ氏は投票停止により、ジュピター製品とプラットフォームの成長、エコシステムである「ジュピバース(Jupiverse)」の生産的なグローバルコミュニティとしての推進、JUPコミュニティの価値創造支援という3つの重要事項に集中できると述べた。チームは運営資金からコミュニティ成長の取り組みを自己資金で実施する予定だ。

なおジュピターDAOは今回の措置について「ガバナンスの終了ではなく一時停止」と強調した。2026年には統合を促進し分断を避ける新たなアプローチでガバナンス投票を再開し、より生産的なDAOを目指すとしている。

発表を受けてJUPトークンは下落し、0.40ドル付近で取引された。年初来では50%下落している。 

画像:iStocks/-artsstock ・Anton_Sokolov

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
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